2026.07.18.Sat
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Seoul Breast Meeting 2026に招待演者として参加しました

Seoul Breast Meeting 2026で招待講演を行う渋谷の森クリニック院長・森克哉

日本・韓国・台湾で異なる豊胸手術の美的嗜好

先日、韓国・ソウルで開催された「Seoul Breast Meeting 2026」に、招待演者として参加してきました。

韓国で発表するのは、今回で3回目です。

僕は今でも英語が得意とは言えません。海外での発表が決まると、毎回かなり早い時期から原稿を作り、何度も読み直して準備をします。それでも本番が近づけば緊張しますし、質疑応答で質問を正しく聞き取れるだろうか、自分の考えを十分に伝えられるだろうかと不安になります。

もちろん、今回の発表も英語でした。

それでも、韓国の先生方はいつも本当に優しく、温かく迎えてくださいます。僕の英語が完璧ではなくても、内容を理解しようと真剣に聞いてくださり、発表後には笑顔で声をかけてくれます。

英語への苦手意識は簡単にはなくなりませんが、こうした温かい交流があるからこそ、また海外で発表したいと思えます。

乳房手術だけで約30演題

Seoul Breast Meetingは、美容目的の豊胸手術と乳房再建の両方を扱う、乳房手術に特化した学術集会です。

朝から夕方まで、豊胸術、乳房再建、インプラント選択、ポケットの作製、術後管理、合併症への対応など、乳房手術に関する発表が続きました。

公式プログラムを見ると、アジア各国における豊胸の美的概念、乳房再建の最新技術、豊胸術の基本、術後ブラや運動再開の指導、被膜拘縮、インプラントの位置異常など、30演題に迫る充実した内容が一日の中に組み込まれていました。

日本にも美容外科や形成外科の学会は数多くありますが、一日を通して、豊胸手術と乳房再建だけをここまで深く議論する会は多くありません。

一つひとつの発表時間は短くても、内容は非常に専門的でした。

シリコン豊胸術後の下着をどのように選ぶか、運動への復帰をどのような段階で進めるかといった、日常診療に直結するテーマもありました。

一方で、デュアルプレーン法における大胸筋の処理を工夫する新しい試みや、乳房再建に用いる血管の走行、画像診断、超音波、ICG血管造影など、高度な内容も数多く発表されていました。

参加されているのは、韓国を代表する大学病院や医療機関で乳房手術に携わる先生方です。プログラムにも、ソウル大学、延世大学、カトリック大学、高麗大学など、韓国の主要大学に所属する先生方の名前が並んでいました。

基礎的な考え方から最先端の技術、合併症への対応まで、一日で乳房手術を体系的に学べる密度の高い学会でした。

大学構内とは思えないほど素晴らしい会場

Seoul Breast Meeting 2026の会場、韓国カトリック大学医学部Maria Hallの内観

会場は、韓国カトリック大学医学部のMaria Hallでした。大学の構内にあるホールですが、実際に入ってみると、その広さと設備の充実に驚きました。

大きなスクリーンは、後方の席からも非常に見やすく、症例写真や細かな図も鮮明に映し出されていました。

音響も明瞭で、マイクの音が聞き取りにくいこともありません。照明や映像の切り替えもスムーズで、発表者として非常に話しやすい環境でした。

さらに、同時通訳の体制も整っていました。

海外学会では、発表内容だけでなく、音響や映像、通訳、進行などの環境が、講演の伝わり方を大きく左右します。

今回の会場は、ホールの規模、画面、音響、同時通訳、スタッフの連携まで、すべてが非常に高いレベルで整えられていました。

主催者の方々が、この学会をどれほど丁寧に準備されてきたのかが伝わってきました。

学食でいただいた本格的な韓国料理

ランチは大学構内の学食でいただきました。

「学食」と聞いて、最初は簡単な定食のようなものを想像していました。しかし、実際には品数の多い、本格的な韓国料理でした。

スープやおかずも充実していて、味付けもしっかりしており、非常においしくいただきました。

朝から専門的な発表が続く学会では、昼食の時間は貴重な休憩時間です。

食事をしながら、午前中の発表について話したり、日本と韓国の診療の違いについて意見を交換したりしました。

高級レストランで食べる韓国料理ももちろん魅力的ですが、大学の中で、その土地の日常に近い料理を先生方と一緒にいただけたことも、良い思い出になりました。

招待演者への細やかな配慮

今回は招待演者として参加させていただきました。

空港からの送迎、ホテルの手配、会場への移動なども、主催者側が丁寧に準備してくださいました。

海外での講演では、発表準備だけでなく、空港からホテルへの移動、会場の場所、集合時間など、慣れない土地で多くのことを確認しなければなりません。

今回は到着したときから細やかにサポートしていただき、発表に集中することができました。

学会の内容だけでなく、こうしたホスピタリティにも感銘を受けました。

英語が苦手な僕に対しても、先生方やスタッフの方々は、ゆっくりと分かりやすく話してくださいました。

医学的な知識や技術だけでなく、海外から来た人を安心させる配慮からも、多くを学ばせていただきました。

日本からの招待演者は矢野先生と僕

今回、日本からの招待演者は、がん研有明病院の矢野智之先生と僕の2名でした。

Seoul Breast Meeting 2026会場にて、日本からの招待演者

矢野先生は、日本の乳房再建をリードされている形成外科医のお一人です。今回のプログラムでは、乳房再建のための新しいCT画像ビューアーに関する発表を担当されていました。

矢野先生のお話では、日頃行っている乳房再建の約8割が、自家組織による再建とのことでした。

自家組織再建とは、患者様ご自身のお腹や背中などの組織を用いて乳房を再建する方法です。高度な技術と豊富な経験が必要となる分野であり、矢野先生は日本を代表する専門家のお一人です。

今回、日本からは、乳房再建の分野で矢野先生、シリコンインプラントを用いた美容豊胸の分野で僕を招待してくださったことになります。

そのような形でお声がけいただけたことを、大変光栄に感じました。

同時に、日本の美容豊胸について発表する立場として、自分がこれまで診察や手術を通じて考えてきたことを、できるだけ分かりやすく伝えたいと思いました。

アジアにおける豊胸の美的嗜好の違い

僕が参加したセッションのテーマは、「Asian Aesthetic Concept & Trend in Breast Augmentation」でした。

韓国、日本、台湾、タイの演者が、それぞれの国における豊胸手術の傾向や美的概念について発表するセッションです。

僕の演題は「Current Trends and Aesthetic Concepts in Breast Augmentation Among Japanese Women: Lessons from 1,368 Consecutive Cases」。日本人女性における豊胸術の最新傾向と美的概念をテーマに、これまでの豊胸手術の経験をもとに考える、インプラントサイズの選択について発表しました。

日本人女性を診察していると、非常によく聞く言葉があります。

「大きくしたい。でも、豊胸したことはバレたくない」

一方で、

「せっかく手術をするなら、できるだけ大きくしたい」

という希望を持つ方が多いのも事実です。

つまり、日本人女性が希望する豊胸には、「大きさ」と「自然さ」という、一見すると相反する二つの要素があります。いわゆる「バレない豊胸」を望む声です。

大きくしたい。しかし、インプラントの縁が見えたり、上胸部が不自然に盛り上がったりすることは避けたい。

この二つを、どのようにバランスよく実現するかが、日本人女性の豊胸手術ではとても重要だと考えています。

痩せ型でもデコルテを自然に見せる豊胸の考え方:Third Rib Concept

今回の発表では、僕が「Third Rib Concept」と呼んでいる考え方についても紹介しました。

日本人女性には比較的痩せ型の方が多く、乳房幅に合わせて小さめのインプラント径を選択すると、上胸部、いわゆるデコルテ部分でインプラントの輪郭が目立つことがあります。

僕は、インプラントの存在感は、皮膚や脂肪などの軟部組織の厚みだけで決まるものではないと考えています。

重要なのは、インプラントが胸壁のどの位置から立ち上がるかです。

インプラントの上端を第3肋骨の直下に合わせることで、胸壁から乳房への移行が滑らかになり、痩せ型の方でもデコルテラインを自然に見せやすくなります。

これがThird Rib Conceptです。

一方で、インプラントを乳房幅の中に適切に収めることは、縁を目立たせず、自然な触り心地を得るために重要です。

見た目の自然さには、身長や乳房位置、インプラント上端の位置が関係し、触れたときの自然さには、乳房幅とインプラント径の関係が影響するのではないか。

そのような僕自身の考えを、実際の症例を示しながらお話ししました。

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韓国の豊胸サイズは、以前より小さめへ

同じセッションで特に興味深かったのは、韓国でも、以前より小さめのインプラントが選ばれる傾向にあるというお話です。

韓国の美容医療には、はっきりとした変化や大きなサイズを求めるイメージを持つ方もいるかもしれません。

しかし最近は、自然さを重視し、以前より控えめなサイズを選択する患者様が増えているとのことでした。

この傾向は、日本人女性の希望と比較的近いように感じました。

日本でも、単に大きくするだけではなく、服を着たときのバランス、デコルテの自然さ、触れたときの柔らかさ、周囲に気づかれにくいことを重視する患者様が多くいらっしゃいます。

日本と韓国では、国や文化は違っても、美容医療に求めるものが、「大きな変化」から「自然で洗練された変化」へと近づいているのかもしれません。

台湾では、より大きなサイズが好まれる傾向

一方、台湾のYa Wei Lai先生の発表も非常に興味深いものでした。

Ya Wei Lai先生は、台湾における豊胸手術の美的概念とトレンドについて発表されました。

発表から受けた印象では、台湾の患者様は、日本人女性よりもかなり大きめのインプラントを希望する傾向があるようでした。

体格や症例によって違いはありますが、僕の感覚では、日本人女性が選ぶインプラントより100ccほど大きいサイズが選ばれることもあるように感じました。

その背景には、アニメキャラクターや人気インフルエンサーの影響もあるのではないか、というお話もありました。

もちろん、これは正式な日台比較研究の結果ではなく、今回の発表を聞いた僕自身の印象です。

しかし、同じアジアでも、日本、韓国、台湾では、理想とされる乳房のサイズや形に違いがあります。

患者様がどこまでの変化を望むのか、何を自然と感じ、何を不自然と感じるのかは、文化や社会、ファッション、メディアの影響を受けます。

安全な手術を行うことは大前提ですが、それぞれの文化的背景や美的嗜好を理解することも、美容外科医にとって重要だと改めて感じました。

韓国の形成外科医療から感じたこと

日本との違いとして印象的だったのは、豊胸や乳房再建を担当する先生方が、形成外科専門医として専門的なトレーニングを受けたうえで乳房手術に取り組んでいることです。

美容豊胸と乳房再建は、一見すると別の領域に見えるかもしれません。

しかし、乳房の解剖、血流、軟部組織の扱い、合併症への対応、左右差の調整など、共通する知識や技術は数多くあります。

今回の学会では、美容と再建を分けるのではなく、両方を一つの「乳房外科」として深く学び、議論している印象を受けました。

また、手術機器の充実にも驚きました。

手術を安全かつ正確に行うためには、術者の経験だけでなく、適切な機器や器具も必要です。

会場では、乳房手術に関連するさまざまな機器や器具が展示されていました。種類の豊富さに驚くと同時に、実際に手に取って見ることができ、医師としてとても楽しい時間でした。

そして、気づけば機器を購入していました。

学会では、新しい知識だけでなく、新しい道具との出会いもあります。

今回購入した機器も、実際の手術にどのように生かせるか、今から楽しみにしています。

学会後は韓牛のお店へ

学会終了後の懇親会では、韓牛のお店に招待していただきました。

一日中、豊胸手術と乳房再建について学び、議論した後に、先生方とテーブルを囲んでいただく韓牛は格別でした。

懇親会でいただいた韓牛料理

食事の場では、発表中には聞けなかった話を伺ったり、日本と韓国の診療の違いについて話したりすることができます。

インプラントの選び方、乳房再建、美容外科教育、それぞれの国の患者様の希望など、話題は尽きませんでした。

学会の講演から得られる知識はもちろん重要ですが、懇親会での何気ない会話から得られる学びも、海外学会の大きな魅力です。

温かく迎えてくださった韓国の先生方に、改めて感謝しています。

3回目の韓国で感じたこと

今回が、韓国での3回目の発表でした。

初めてのときと比べれば少し慣れましたが、英語で発表する緊張感は今でも変わりません。

それでも、完璧な英語を話すことより、自分が患者様を診察し、手術を行う中で考えてきたことを、誠実に伝えることの方が大切なのだと思うようになりました。

韓国の先生方は、英語の表現が少し不十分でも、内容を理解しようと熱心に聞いてくださいます。

そして、発表後には温かい言葉をかけてくださいます。

海外で発表することは、自分の技術を紹介するだけではありません。

自分の考えを整理して言葉にし、異なる文化や医療環境の中で働く先生方から意見をいただくことで、日々の診療を改めて見直す機会になります。

おわりに

今回のSeoul Breast Meetingを通して、韓国の乳房手術に対する熱意、専門性の高さ、そして学会運営の素晴らしさを改めて感じました。

また、日本、韓国、台湾では、患者様が希望する乳房のサイズや自然さの基準に、それぞれ違いがあることを知ることができました。

日本人女性の多くは、

「大きくしたい。でも、豊胸したことは気づかれたくない」

という、一見相反する希望を持っています。

その希望を実現するためには、単に大きなインプラントを選ぶのではなく、乳房幅、身長、乳房位置、軟部組織、ライフスタイル、そして患者様ご自身が思い描く美しさを、総合的に考える必要があります。

美しい乳房は、インプラントのサイズだけで決まるものではありません。

患者様の身体、希望、生活、そして解剖学的な条件が調和したときに、初めて自然で満足度の高い結果につながると考えています。

今回得た知識、新しい視点、そして購入した手術機器も、今後の診療にしっかりと生かしていきたいと思います。

最後になりましたが、招待してくださった主催者の先生方、空港からの送迎やホテルを手配してくださったスタッフの皆様、そして温かく迎えてくださった韓国の先生方に、心より感謝申し上げます。

これからも国際交流の機会を大切にし、日本人女性に合った豊胸手術について、海外の先生方とも議論を続けていきたいと思います。

シリコンインプラントに関する注記

豊胸手術に用いるシリコンインプラントには、日本国内で承認された製品と未承認の製品があります。未承認の製品を用いる場合は、医師の責任のもと個人輸入した製品を自由診療で使用します。また、シリコンバッグ豊胸には、被膜拘縮、感染、血腫、インプラントの破損・位置のずれ、左右差などのリスク・合併症の可能性があります。詳しくはカウンセリングでご説明します。

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監修医師

森 克哉
森 克哉

渋谷の森クリニック(神宮前)院長・理事長
医学博士・形成外科専門医
東京慈恵会医科大学形成外科学講座 講師
PMUアピアランスケアアートメイク 代表

【専門分野】
豊胸手術・乳房再建・豊胸の他院修正手術

【経歴】
2000年 東京慈恵会医科大学卒業。2002年より同大形成外科に所属。
2009年 聖マリアンナ医科大学救急医学 助教 2010年 同大学横浜市西部病院救命救急センター 医長を経て、2011年 東京慈恵会医科大学形成外科 乳房再建責任者、2012年 講師就任。
2015年 渋谷の森クリニックを開院。乳房再建手術と美容目的の豊胸手術の双方を執刀する現役の乳房再建医。渋谷の森クリニックでは分院を設けず、手術は1日2件までの体制で診療にあたっている。

【学術活動】
・筆頭著者論文「非吸収性充填材アクアフィリング®の除去と同時にインプラントを用いた乳房増大術を行った9例」『形成外科』68巻6号 636-646頁(2025年)
・豊胸手術をテーマに海外4学会へ招待講演者として招聘:PRS KOREA 2025、台湾美容外科学会(TSAPS)国際学術集会 2025、APS KOREA 2026、Seoul Breast Meeting 2026
・第13回日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会総会 教育講演(2025年)ほか、日本形成外科学会総会・日本美容外科学会(JSAPS)総会・日本形成外科手術手技学会にてセミナー講師(2025年)
・アートメイクの安全性・合併症に関する共著論文(Aesthetic Plastic Surgery誌ほか、2015〜2021年)

【所属学会】
日本形成外科学会/日本美容外科学会(JSAPS)/日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会/日本乳癌学会/日本頭蓋顎顔面外科学会

【施設認定】
乳房増大インプラント実施施設(日本形成外科学会認定)
インプラント実施施設(日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会認定)

【施設】
渋谷の森クリニック(神宮前)豊胸手術件数:1,278件(2021年1月〜2025年12月)

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