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アクアフィリング除去|他院で断られた流出症例を除去と同時にシリコン再建した記録

「対応してくれるクリニックは、もうないかもしれません」。他院でそう告げられた30代の女性は、6年前に受けたアクアフィリング豊胸の充填剤が下腹部まで流れ出すという状態で来院されました。本記事は、除去と同時にシリコン再建(シリコン豊胸)を行ったこの症例について、診察から手術、術後経過までを形成外科専門医の立場から記録としてまとめたものです。

アクアフィリングの流出や移動でお悩みの方、他院で修正を断られた方、除去後の豊胸まで含めて検討している方の判断材料になればと考えています。

※本症例は患者様の同意を得て、医療広告ガイドラインに沿って記録・公開しています。掲載内容は個別の症例であり、効果・経過には個人差があります。

この記事でわかること

  • アクアフィリングが「流出・移動」するとはどういう状態か
  • 他院で「除去のみ」「再建は先延ばし」と言われたケースの実際の対応
  • 除去とシリコン再建を同時に行えた医学的な理由
  • 手術の流れ・所要時間・術後経過のリアルな記録
  • 6年経過した充填剤でも対応できるのかという疑問への回答
  • 5年・10年と経過した場合の典型的な変化と来院推奨タイミング
  • 除去を任せるクリニックを判断する5つの評価視点
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1. 症例の概要

年代・性別 30代女性
お住まい 関西地方(遠方からの来院)
ご職業 接客業(バストのボリューム維持を希望)
注入歴 約6年前にアクアフィリング豊胸。その後の補正でヒアルロン酸注入
主訴 右胸の充填剤が下腹部まで流出/両胸の流出進行とボリューム低下/健康面への不安

来院までの経緯:約6年前に地元の美容外科でアクアフィリング豊胸を受けられました。注入直後の仕上がりには満足されていたものの、3年ほど経った頃から右胸にしこり感を自覚されたとのこと。近年になって右胸の充填剤が下腹部まで流れていることに気づき、複数の医療機関に相談されました。右胸のボリューム低下を補うためにヒアルロン酸を追加注入したものの、右胸は硬くなり流出はかえって進行。やがて左胸でも流出が始まりました。

来院時の最大の不安は、流出している充填剤が体内のどこまで広がっているのか、健康にどのような影響があるのか、そもそも除去できる状態なのかという3点でした。

2. 他院で「対応不可」と言われた理由

来院前の他院の説明は「まず除去のみを行い、シリコン挿入は1年ほど先になる」「ここまで広がった状態に対応できる施設は少ないだろう」というものでした。

除去直後の組織には炎症や感染のリスクが残るため、いったん除去だけを行い、組織が落ち着いてから改めてインプラントを入れる二段階方式をとる施設が一般的です。これは安全側に振った判断としては理にかなった選択ですが、患者様にとっては手術が2回に分かれること、その間バストのボリュームが大きく失われること、遠方の方は通院負担が倍になることなど、生活面・経済面の負担が大きい選択肢でもあります。

「ここまで広がった状態」を扱うには、術前に流出範囲を正確に把握する画像評価の体制と、直視下で組織の状態を確認しながら除去を進められる形成外科の手技、さらに除去後の組織欠損を補う再建外科の経験が同時に必要になります。それらを一施設でまかなえる体制は限られるため「対応できる施設は少ない」という説明そのものは妥当性があります。

3. 来院予約までの流れ

  • 10:00 問い合わせフォームからご相談
  • 11:30 スタッフより返信(状況とご希望を確認)
  • 14:00 お電話で詳しくヒアリング
  • 15:00 来院予約が確定(手術枠も仮押さえ)

関西からの来院を踏まえ、診察・検査・カウンセリングを来院当日にまとめて行い、手術はその翌日に設定するスケジュールを組みました。遠方の患者様が何度も往復せずに済むよう調整した形です。

4. 来院当日:診察・検査・カウンセリング

来院当日は、丁寧なカウンセリングと並行して、触診・エコー・MRIによる評価を行いました。

触診では硬さ、可動性、しこりの範囲のおおよそを把握します。エコーは皮膚直下から数センチ程度までの内部状態をその場で確認できるため、被膜の有無や充填剤の性状を即時に評価するのに向いています。MRIは胸壁の奥、腹部側への広がりまで一度に画像化できるため、流出範囲を3次元的に把握する目的で使用します。どれか一つだけでは見落としが生じるため、3つを組み合わせることが安全な除去の前提になります。

担当医の所見

「広い範囲に流出が見られましたが、形成外科の手技で十分に対応できる段階でした。むしろ、この時点で来ていただけたことが大きい。アクアフィリングは時間とともに広がっていくため、放置するほど除去は難しくなります」

5. 検査で判明した状態

  • 両胸にアクアフィリングの残存
  • 右側に強い硬結があり、周囲組織との癒着を認めた
  • 被膜反応がみられ、放置すると炎症につながる懸念
  • 右下腹部では充填剤が腹直筋の裏側にまで到達
  • 腹腔内の臓器とは薄い膜を隔てて近接

アクアフィリングはゲル状で流動性があり、組織の隙間に沿って移動します。重力の影響を受けやすく、立位の時間が長い方では下方への移動が進みやすい傾向があります。今回は腹直筋の裏側にまで達しており、これ以上経過すると除去の難易度がさらに上がると考えられる状態でした。

ヒアルロン酸の追加注入によって複数の充填剤が混在しており、画像上もそれぞれの性状を見分ける必要がありました。注入剤どうしが混ざると、エコーやMRIでの境界判定が難しくなり、術中も区別しながら除去を進めることになります。今回はMRIのT2強調画像で性状の違いを確認したうえで、術中所見と照合する方針としました。

6. 治療方針:3つの選択肢

検査結果をふまえ、3つの選択肢を提示しました。各選択肢を以下の表で比較します。

選択肢1:除去のみ 選択肢2:除去+同時シリコン 選択肢3:除去後・期間を空けて再建
手術回数 1回 1回 2回
手術時間(目安) 約60分 約90〜120分 1回目60分+2回目90分
ボリューム 大幅減 維持できる 一時的に大幅減→再建で回復
通院負担 単発 単発 2回必要
適応の目安 異物の早期排除を最優先する場合/再建を当面見送る方針 感染所見なし/ボリューム維持の希望が明確/遠方在住で再来院が難しい 感染所見あり/組織反応の経過観察が必要/初回は除去のみで様子を見たい

選択肢1(除去のみ):手術時間が短く身体への負担が小さい一方、充填剤を取り除いた分だけバストのボリュームが大きく減少します。ボリューム維持を希望される今回のケースでは、単独では希望に沿いにくい選択肢です。

選択肢2(除去+シリコンバッグ同時挿入):今回採用した方針です。1回の手術で除去と再建が完結するため、ボリュームを保ったまま治療を終えられます。複数回の通院を避けられる点が遠方の患者様にとって大きな利点となります。感染や強い炎症の所見がないことが前提条件です。

選択肢3(除去後、期間を空けてシリコン挿入):感染が疑われる場合や、組織反応を慎重に経過観察したい場合に選ばれる二段階方式です。リスクを分散できる一方、手術回数が増えるため総合的な身体的・経済的負担は増加します。今回は複数回来院が難しいことと、感染所見がなかったことから見送りとしました。

再建には何を使うのか:シリコンバッグは形・ボリュームの設計がしやすく、術後の安定性が高いという特徴があります。一方、脂肪注入はアクアフィリング注入後には原則として適応が難しく、禁忌に近いと考えています。アクアフィリングは組織内に浸潤するため、脂肪が安定して生着できる環境とは言いがたいからです。アクアフィリングが残存していたポケットを術中に確認すると、その状況は明確です。こうした理由とボリューム維持の必要性から、今回はシリコンバッグ(モティバ エルゴノミクス2)を選択しました。除去のみ先行して再建を後から検討する進め方も選択肢として残されています。

7. なぜ除去と同時にシリコン再建ができたのか

同時手術が可能と判断した背景には、3つの要素があります。

第1に、術中に感染や炎症の有無を直視下で確認できる手術設計を採用していること。切開して組織を直接観察すれば、画像では判別しにくい炎症所見もその場で評価できます。インプラントを入れて良い状態かどうかを術中に最終判断する形をとります。手術中には培養検査も行い、細菌感染の有無を確認したうえで、術後に使用する抗生物質の種類についても適切に検討していきます。

第2に、手術回数が少ないほど合併症リスクを抑えやすいという原則。手術はその都度、麻酔・出血・感染の機会を増やします。1回で完結できる症例であれば、2回に分けるよりも累積リスクが小さくなります。

第3に、形成外科・乳房再建で培った剥離と再建の手技。除去で生じた組織の欠損やゆがみを整え、インプラントを安定して収めるためには、再建外科で蓄積された技術がそのまま活きます。除去だけ、あるいは挿入だけを別々に扱う発想ではなく、両者を一連の組織再建として設計する考え方になります。

ただし、すべての症例で同時手術が最適というわけではありません。感染が明らかな場合、皮膚の状態が悪い場合、患者様の全身状態に懸念がある場合などは、あえて段階的に進める判断もとります。検査と術中所見にもとづいて症例ごとに判断します。

8. 手術の実際

手術日 来院翌日
手術時間 約90分
麻酔 静脈麻酔+吸入麻酔+局所麻酔
切開位置 乳房下縁(IMF)
手術内容 アクアフィリング除去+シリコンバッグ挿入

術中所見:右胸は癒着が強く、組織を傷めないよう丁寧に剥離しながら除去を進めました。硬く変性した部分は直視下で確実に取り除き、ゲル状で残っている部分は周囲組織への波及を避けながら洗い出します。左胸は比較的やわらかく、ゲル状の充填剤が多く残存していました。除去後に内部を生理食塩水で十分に洗浄し、清浄性を確認したうえでインプラント(モティバ エルゴノミクス2)を挿入しました。

なぜ吸引ではなく切開して除去したのか:吸引法は傷が小さく済むという利点がある一方、流動性のあるゲルだけが部分的に抜けて、硬く変性した部分や癒着した部分は残りやすいという限界があります。今回は流出が広範囲で右側に強い癒着があったため、切開して直視下で除去する方法を選び、残存を最小限に抑えました。

切開部位を乳房下縁とした理由は、アクアフィリングの除去を第一目的とし、直視下で確実に除去を行う必要があったためです。加えて、上腹部から下腹部への流出も認めていたことから、シリコンインプラントのアンダーラインを適切に作成する必要があり、乳房下縁切開を選択しました。

9. 術後の経過

  • 術直後:数時間で歩行可能、痛みは想定の範囲内でコントロール。
  • 当日:医師の経過観察を行い、状態が安定していることを確認したうえで、関西へのご帰宅前にもう一度傷の状態をチェック。
  • 約1週間後(抜糸):内出血や腫れは想定どおりに推移、感染を示す所見なし。傷の閉鎖状態も良好。
  • 約2週間後:日常生活の制限を段階的に解除、デスクワーク主体の業務であれば復帰可能。
  • 約1か月後:腫れが落ち着きバストの形が安定、日常生活・就業ともに支障のない状態まで回復。
  • 3か月後・6か月後:定期経過観察。インプラントの位置・形・被膜の状態を確認。

アフターケア:強い圧や衝撃を避ける、激しい運動や重い荷物を一定期間控える、創部を清潔に保つ。術後も継続して経過を確認します。長期的にはマンモグラフィや乳腺エコーなどの乳がん検診を継続していただくことも重要です(詳しくはFAQ参照)。

10. 症例写真

アクアフィリング流出症例|除去と同時シリコン再建 術後1ヶ月の経過写真1
アクアフィリング流出症例|除去と同時シリコン再建 術後1ヶ月の経過写真2
アクアフィリング流出症例|除去と同時シリコン再建 術後1ヶ月の経過写真3

症例写真の詳細(医療広告ガイドラインに基づく表示)

  • 施術内容:アクアフィリング除去+シリコンバッグ挿入(乳房下縁切開・同時シリコン再建)
  • 費用(税込):2,750,000円(税込)
    ※本症例はシリコンバッグが特注サイズで、アクアフィリングとヒアルロン酸の除去を伴うため、通常より費用が高くなっています。通常のアクアフィリング除去+シリコン豊胸(同時再建)は1,980,000円(税込)〜です。
  • 主なリスク・副作用:内出血・腫れ・痛み・感染・被膜拘縮・左右差・知覚の一時的な変化・漿液腫・創部の瘢痕 等
  • 治療期間・経過:日帰り手術(入院不要)/ダウンタイムは約1週間(抜糸の頃まで)

※掲載写真は個別の症例であり、効果・経過には個人差があります。自由診療です。

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11. アクアフィリングの流出・移動はなぜ起こるのか

アクアフィリングは生理食塩水を主成分とし、わずかにポリアクリルアミド系の成分を含むゲル状の注入剤です。約2〜2.5%のポリアクリルアミドポリマーが網目構造をつくり、その中に水を保持することで体積を維持する仕組みになっています。

この網目構造は柔らかく、外力や周囲組織の動きで容易に変形します。体内に注入されたゲルは本来の位置にとどまり続ける保証がなく、時間とともに組織のすき間に沿って広がったり、重力の影響で下方へ移動したりします。胸に入れたものが腹部の方向へ下りていくのは、組織の圧力の逃げ道になりやすい筋膜の層をたどって移動するためです。腹直筋の前面・後面はとくに移動経路になりやすく、今回の症例でも下腹部の腹直筋裏側まで充填剤が到達していました。

組織側の反応も無視できません。体内に異物として認識されたゲルの周囲には、線維性の被膜が形成されます。被膜は時間とともに厚く硬くなり、しこりや硬結として触れるようになります。被膜の内側で慢性的な炎症が続くと、被膜が破れて内容物が周囲に漏れ出すこともあり、これが「遅発性の急性炎症」として現れることがあります。また被膜内には細菌が定着しやすく、注入から数年が経過してから感染症状が出現する報告もあります。

別の注入剤を追加して補正しようとする対応はかえって状況を悪化させます。ヒアルロン酸など別の素材を加えると、注入物どうしが混在して画像評価が難しくなり、性状の異なるゲルが層状に重なって除去の難易度も上がります。今回の症例でも、追加されたヒアルロン酸が右胸の硬結進行に関与していたと考えられました。トラブルを別の注入で覆い隠すのではなく、まず状態を正確に把握することが先決です。

国内外の規制状況

アクアフィリングは欧州諸国の一部で2014年前後から使用が制限・禁止されており、日本でも厚生労働省の承認を受けていない(未承認医薬品)。日本美容外科学会(JSAPS)など主要学会は、豊胸目的での使用を推奨しない姿勢を示しています。当院でも豊胸目的の注入は行っておらず、すでに注入された方の除去・再建のみを取り扱っています。

12. 注入から5年・10年と経つとどうなるか

注入直後はまとまった形を保っているゲルも、年単位で組織になじむように広がり、一部は離れた部位へ移動します。経過年数による典型的な変化を整理します。

注入から1〜3年

自覚症状は出にくい時期ですが、画像検査では被膜形成が始まっていることがあります。触診ではまだ柔らかさを保っていることが多く、外見的にも仕上がりは維持されている方が大半です。

注入から3〜5年

被膜が厚くなり、軽度の硬結を自覚し始める方が出てきます。一部に流動性の低下、形の左右差が現れることがあります。この時期に他注入剤による補正を試みると、後の除去難度が大きく上がるため、補正よりも状態評価を優先することが望ましい段階です。

注入から5〜10年

硬結、しこり、形の崩れがはっきりと自覚されるケースが増えます。胸の外側や下方、脇、腹部に違和感やふくらみを感じる方も出てきます。被膜の内部で慢性炎症が進み、急に痛みや赤みが出る遅発性炎症のリスクも高まります。今回の症例(6年経過)はこの時期に該当します。

注入から10年以降(アクアフィリング 10年後の状態)

充填剤の広範囲移動、被膜拘縮、繰り返す炎症、感染、皮膚の変色や瘢痕化など、複合的な合併症が現れる可能性があります。腹部、背部、脇まで充填剤が到達した症例の報告もあり、除去そのものが困難になることがあります。

遅発性炎症が起きる機序:被膜内に細菌が定着して微小な感染(バイオフィルム)が成立すると、慢性的な炎症が続きます。免疫状態の変化や外傷、別の手術、感冒などをきっかけに炎症が顕在化し、急に腫れや痛み、発赤が現れることがあります。5年・10年と経過してから症状が出るのはこのためです。

セルフチェック表

チェック項目 受診の目安
胸の一部が硬い/しこりのように触れる 早めの画像確認を推奨
左右差が以前より目立つ 早めの画像確認を推奨
離れた部位(脇・腹部)にふくらみや違和感 速やかな受診を推奨
痛み・赤み・熱感 速やかな受診を推奨(炎症の可能性)
形の崩れ 早めの画像確認を推奨
注入から5年以上経過・自覚症状なし 定期的な画像評価を検討

無症状でも、注入から5年を超えた方は一度エコー・MRIで状態を確認しておくことをおすすめします。早い段階で評価しておけば、その後の選択肢を広く保てます。

13. 除去を任せるクリニックを選ぶときの視点

除去手術を任せる施設を選ぶ際に確認しておきたい5項目を整理します。

第1に、画像検査で流出範囲を評価しているか。触診だけ、あるいはエコーだけで除去計画を立てている場合、深部や離れた部位の充填剤を見落とすリスクがあります。エコー(即時評価)とMRI(深部・全体評価)の両方を組み合わせて術前計画を立てている施設が望ましいです。

第2に、直視下で除去できる手術設計か。吸引法のみで対応している施設は、流動性のあるゲルしか除去できず、硬く変性した部分や癒着した部分が残ります。残存した充填剤は再び流出・移動のリスク源になります。切開して直視下で確認しながら除去する手技を持つ施設が、広範囲・癒着症例には適しています。

第3に、除去後の再建まで対応できるか。除去だけを行う施設で手術を受けた場合、再建のためにまた別の施設を探す必要が出てきます。手術ごとに執刀医や麻酔・術後管理の方針が変わるため、同一施設で完結する設計のほうが治療経過を一貫して管理しやすくなります。

第4に、術者が形成外科・乳房再建を専門としているか。除去は単に異物を取り出す作業ではなく、組織を温存しながら欠損を再建する一連の手技です。形成外科の修練と乳房再建の経験がある術者であれば、除去で生じる組織欠損やゆがみへの対応力が違ってきます。

第5に、症例の説明が「対応可否」だけで終わっていないか。一つの施設の説明だけで諦めず、状態を正確に評価したうえで方針・選択肢・各選択肢のメリットとリスクを言葉にしてくれるかどうかを基準にしてください。「できる/できない」の二択ではなく、「あなたの状態ならこの方針が現実的で、その理由はこうです」まで踏み込んで説明できる施設が信頼できます。

セカンドオピニオンを取ることに遠慮は不要です。とくに「対応不可」「再建は1年後」と説明された場合は、別の施設で画像評価を受けてから最終判断をされることをおすすめします。

14. 他院で断られても相談できる理由

当院で執刀を担当する森医師は形成外科を専門とし、乳房再建を含む再建外科の経験を背景に持ちます。除去で生じた組織の欠損やゆがみを整え、インプラントを安定させる工程は再建外科の技術と重なります。

豊胸手術 1,219件(2021年1月〜2025年12月)の実績。エコー・MRIによる事前評価と術中の直視下確認を組み合わせて判断し、分院を持たずすべての症例を院長自身が執刀します。執刀医と検査医・術前面談医が別人になると情報伝達のロスが生じやすいですが、一人の術者が初診から術後経過まで一貫して担当する体制であれば、症例ごとの微妙な判断を引き継ぎ漏れなく反映できます。

学会誌 掲載論文

「非吸収性充填剤アクアフィリング®の除去と同時にインプラントを用いた乳房増大術を行なった9例」雑誌『形成外科』68(6):636–646, 2025。本症例を含む同時手術症例のシリーズを学術誌に報告しており、術前評価から術後経過までの一連の方針について第三者による査読を経た形で公開しています。

15. よくあるご質問

質問をタップ(クリック)すると回答が開きます。

相談・治療について

Q. 他院で「対応できない」と断られましたが、相談できますか?

A. はい。流出が広範囲の症例や複数回の注入歴がある症例も含め、まず検査で状態を確認したうえで方針をご提案します。

Q. 注入から年数が経っていても除去できますか?

A. 今回は約6年経過していましたが対応可能でした。時間が経つほど除去の難易度は上がる傾向があるため、症状がなくても早めの確認をおすすめします。

Q. アクアフィリングを放置すると後遺症が残りますか?

A. 硬結、被膜形成、炎症、感染、形の変化、離れた部位への移動などが報告されています。腹部へ流出すると除去そのものが難しくなります。

Q. 除去すると胸は小さくなりますか?

A. 充填剤を取り除く分ボリュームは低下します。今回は除去と同時にシリコンバッグを挿入しボリュームを保ちました。除去のみで様子を見る進め方や、状態に応じた再建方法をご提案できます。

Q. アクアフィリングを除去したあと、もう一度豊胸(やり直し)はできますか?

A. 残存充填剤を可能な限り除去し組織が落ち着いていれば、シリコンバッグなどでの再豊胸は可能です。今回のように除去と同時に行うか、期間を空けて行うかは状態によって判断します。なお、アクアフィリング後の脂肪注入は組織内浸潤のため原則として適応が難しい点にご留意ください。

Q. ヒアルロン酸やアクアミドなど他の注入剤でも対応できますか?

A. ヒアルロン酸、アクアミド、アクアリフトといった注入剤のトラブルもご相談を受けています。製剤によって除去の難しさが異なるため、まず画像検査で状態を把握します。

Q. アクアフィリングの種類によって対応は変わりますか?

A. アクアフィリングにはいくつかの製剤バリエーションが存在し、ポリマー濃度や粘度に差があります。性状によってエコー・MRIでの見え方や除去時の挙動が変わるため、術前評価で性状を確認したうえで除去方法を決定します。

費用・通院について

Q. 除去の費用はどのくらいかかりますか?

A. 目安として、アクアフィリング除去とシリコン豊胸(同時再建)を行う場合は1,980,000円(税込)〜です。流出の範囲、使用するインプラント、特注サイズの要否などによって変わります。自由診療です。状態を確認したうえで費用を含めた治療計画をご提示します。

Q. アクアフィリングの除去に保険は使えますか?

A. 美容目的で受けた注入物の除去は原則として自由診療(保険適用外)です。感染や明らかな健康被害を伴う場合の扱いは状況によって異なるため、まず診察でご相談ください。

Q. 遠方からでも相談できますか?

A. 今回の患者様は関西からの来院でした。診察・検査・カウンセリングを来院当日にまとめ、通院回数を抑えられるよう調整しています。また、遠方にお住まいの方には、Zoomによる診察やカウンセリングにも対応しています。

手術後・長期の経過について

Q. ダウンタイムはどのくらいですか?

A. 日帰り手術(入院不要)で、ダウンタイムの目安は約1週間(抜糸の頃まで)です。本症例では内出血や腫れが落ち着くまで約1〜2週間でした。経過には個人差があります。

Q. 除去・再建のあと、授乳に影響しますか?

A. 乳房下縁の切開からインプラントを入れる方法は乳腺や乳管への影響を抑えやすい術式です。妊娠・授乳のご予定がある場合はその点を踏まえて相談します。ただし、組織内浸潤したアクアフィリングが授乳にどのように影響するかについては、現時点では明らかではありません。

Q. 一度除去すれば、再び流出することはありませんか?

A. 残存した充填剤を可能な限り除去し、位置の安定したシリコンバッグなどで再建することで、注入剤特有の移動・流出のリスクは大きく下がります。

Q. 除去後にアクアフィリングが少量残ることはありますか?

A. 癒着が強い部分や組織と一体化している部分では、無理に剥離すると組織を傷めるため、安全性を優先して少量を残す判断をすることがあります。残存量と部位は術後にお伝えし、定期的な経過観察で変化を確認します。

Q. 除去後に乳がん検診(マンモグラフィ・エコー)は受けられますか?

A. シリコンバッグ挿入後もマンモグラフィ・エコーによる乳がん検診は可能です。撮影方法に工夫が必要なため、検診を受ける際には豊胸の既往をお伝えください。当院でも検診継続の重要性を術後ご説明しています。

16. まとめ

6年前のアクアフィリングが下腹部まで流出し、他院で「除去のみ」「再建は1年後」と説明された症例に対し、検査で状態を正確に評価したうえで、除去とシリコン再建を1回の手術で行いました。

検査で範囲を把握し、直視下で確実に除去し、再建外科の手技で同時にインプラントを安定させる。この一連の設計は、形成外科・乳房再建を背景に持つ術者の手で初めて成立します。「対応できない」と言われても、検査をしてみなければわからない部分は残ります。流出・移動・硬結でお悩みの方は、状態が進む前にご相談ください。

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監修医師

森 克哉
森 克哉

渋谷の森クリニック(神宮前)院長・理事長
医学博士・形成外科専門医
東京慈恵会医科大学形成外科学講座 講師
PMUアピアランスケアアートメイク 代表

【専門分野】
豊胸手術・乳房再建・豊胸の他院修正手術

【経歴】
2000年 東京慈恵会医科大学卒業。2002年より同大形成外科に所属。
2009年 聖マリアンナ医科大学救急医学 助教 2010年 同大学横浜市西部病院救命救急センター 医長を経て、2011年 東京慈恵会医科大学形成外科 乳房再建責任者、2012年 講師就任。
2015年 渋谷の森クリニックを開院。乳房再建手術と美容目的の豊胸手術の双方を執刀する現役の乳房再建医。渋谷の森クリニックでは分院を設けず、手術は1日2件までの体制で診療にあたっている。

【学術活動】
・筆頭著者論文「非吸収性充填材アクアフィリング®の除去と同時にインプラントを用いた乳房増大術を行った9例」『形成外科』68巻6号 636-646頁(2025年)
・豊胸手術をテーマに海外4学会へ招待講演者として招聘:PRS KOREA 2025、台湾美容外科学会(TSAPS)国際学術集会 2025、APS KOREA 2026、Seoul Breast Meeting 2026
・第13回日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会総会 教育講演(2025年)ほか、日本形成外科学会総会・日本美容外科学会(JSAPS)総会・日本形成外科手術手技学会にてセミナー講師(2025年)
・アートメイクの安全性・合併症に関する共著論文(Aesthetic Plastic Surgery誌ほか、2015〜2021年)

【所属学会】
日本形成外科学会/日本美容外科学会(JSAPS)/日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会/日本乳癌学会/日本頭蓋顎顔面外科学会

【施設認定】
乳房増大インプラント実施施設(日本形成外科学会認定)
インプラント実施施設(日本乳房オンコプラスティックサージャリー学会認定)

【施設】
渋谷の森クリニック(神宮前)豊胸手術件数:1,278件(2021年1月〜2025年12月)

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